闘神伝記外伝 ~闘神のつぶやき~ 4
2006.05.17 |Category …片隅の小説
ようこそ、また来て下さったのですね。
貴方がこうして訪ねてきて下さるようになって、不思議な音がするようになったとお話しましたよね。その理由がやっと分かりましたよ。
いえ、今は内緒にしておきます。
そのうち分かりますよ、ふふ。楽しみにしていてください。
今ちょうど、ナロフ警備隊でのことを思い出していたんですよ。
貴方がこうして訪ねてきて下さるようになって、不思議な音がするようになったとお話しましたよね。その理由がやっと分かりましたよ。
いえ、今は内緒にしておきます。
そのうち分かりますよ、ふふ。楽しみにしていてください。
今ちょうど、ナロフ警備隊でのことを思い出していたんですよ。
▽一応続いてますぜ。
・第四話「親友の旅立ち」
ナロフ警備隊で過ごした数年間は、穏やかで幸せでした。その間に起きた大きな事件はほんの数件、こそ泥事件や火事くらいしかありませんでしたしね。だからこそ、心置きなく剣の修行ができたのかもしれません。
あの頃の私とフェローは、互いに暇さえあれば剣の練習をしていましたからね。もっともフェローは、そうやって剣の練習に打ち込む振りをして、私たちを見つめる数人の女性たちに手を振るのが大好きでしたけど。
ナロフで武闘大会が行われるたび、私たちはなぜか有名になっていきました。フェローの凛々しさに女性たちは釘付けになっていましたから……彼はどこに行っても注目の的でしたよ。先輩たちに嫉妬されて、よく睨まれていました。
えっ、私ですか?
はい、それはまあ……私にも同様の視線が向けられていたのは分かっていました。
でも……失礼ですがその頃、女性にまったく興味がなかったので……こちらから手を振ったり挨拶したりというのは、考えもしませんでしたね。手紙などもたくさんいただきましたけど、どれも丁寧にお断りの返事を書きました。今思うと、ずいぶん冷たい奴だったなと思いますね……
サンテルマイン衛兵隊のエトワール隊長が来られた秋の収穫祭、私とフェローは優勝をかけて戦いました。あの時の勝負はどちらが勝ってもおかしくない名勝負だったと、今でも自負しています。もしあの時フェローが優勝していたら、エトワール隊長はフェローを引き抜いていたかもしれませんね。
でも、それが私で……よかった。
いいえ、驕りではありません。
サンテルマイン衛兵隊はサンテルマイン軍と並んで、平和を護る要。ゼラン軍の侵攻を食い止めるため、真っ先に最前線に赴かねばなりません。非情で残酷な争乱の中心、敵味方の血が入り混じる混沌の坩堝。
……そんな場所へ友を送ることはできませんからね……
多分フェローも同じことを考えていてくれたと思います。でも、彼は私を止めなかった。私なら何とかなると、彼なりに納得してくれたんでしょう。
変わらぬ友情を誓い、フェローと交換した鋼のプレートは、その先もずっとずっと私を支えてくれました。遠く離れていても支え合えるかけがえのない親友は、後にも先にもフェロー・トヴァシュトリ、ただ独りでした……
ナロフ警備隊で過ごした数年間は、穏やかで幸せでした。その間に起きた大きな事件はほんの数件、こそ泥事件や火事くらいしかありませんでしたしね。だからこそ、心置きなく剣の修行ができたのかもしれません。
あの頃の私とフェローは、互いに暇さえあれば剣の練習をしていましたからね。もっともフェローは、そうやって剣の練習に打ち込む振りをして、私たちを見つめる数人の女性たちに手を振るのが大好きでしたけど。
ナロフで武闘大会が行われるたび、私たちはなぜか有名になっていきました。フェローの凛々しさに女性たちは釘付けになっていましたから……彼はどこに行っても注目の的でしたよ。先輩たちに嫉妬されて、よく睨まれていました。
えっ、私ですか?
はい、それはまあ……私にも同様の視線が向けられていたのは分かっていました。
でも……失礼ですがその頃、女性にまったく興味がなかったので……こちらから手を振ったり挨拶したりというのは、考えもしませんでしたね。手紙などもたくさんいただきましたけど、どれも丁寧にお断りの返事を書きました。今思うと、ずいぶん冷たい奴だったなと思いますね……
サンテルマイン衛兵隊のエトワール隊長が来られた秋の収穫祭、私とフェローは優勝をかけて戦いました。あの時の勝負はどちらが勝ってもおかしくない名勝負だったと、今でも自負しています。もしあの時フェローが優勝していたら、エトワール隊長はフェローを引き抜いていたかもしれませんね。
でも、それが私で……よかった。
いいえ、驕りではありません。
サンテルマイン衛兵隊はサンテルマイン軍と並んで、平和を護る要。ゼラン軍の侵攻を食い止めるため、真っ先に最前線に赴かねばなりません。非情で残酷な争乱の中心、敵味方の血が入り混じる混沌の坩堝。
……そんな場所へ友を送ることはできませんからね……
多分フェローも同じことを考えていてくれたと思います。でも、彼は私を止めなかった。私なら何とかなると、彼なりに納得してくれたんでしょう。
変わらぬ友情を誓い、フェローと交換した鋼のプレートは、その先もずっとずっと私を支えてくれました。遠く離れていても支え合えるかけがえのない親友は、後にも先にもフェロー・トヴァシュトリ、ただ独りでした……
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