闘神伝記外伝 ~闘神のつぶやき~ 9
2006.05.25 |Category …片隅の小説
こんにちは、ようこそ。
貴方の来訪はとても嬉しいのですが、おもてなしのお茶をお出しできないのが申し訳なくて……
とはいえ私は亡者の身ですから、現世の物には触れることができないので、それもまた無理な話なのですよね。
先日、家事全般はできるとお話しましたけど、お茶を入れるのもそれなりに上手なんですよ。
え、お茶にお砂糖?
そうですね、私は二さじが三さじくらい入れてましたよ。それでも控え目なつもりですけど……多いですか?
貴方の来訪はとても嬉しいのですが、おもてなしのお茶をお出しできないのが申し訳なくて……
とはいえ私は亡者の身ですから、現世の物には触れることができないので、それもまた無理な話なのですよね。
先日、家事全般はできるとお話しましたけど、お茶を入れるのもそれなりに上手なんですよ。
え、お茶にお砂糖?
そうですね、私は二さじが三さじくらい入れてましたよ。それでも控え目なつもりですけど……多いですか?
▽一応続いてますぜ
・第九話「バートラスタ攻略 ファーマレイの家」
ファーマレイ流双剣術の祖グラヴァス・ファーマレイは、バートラスタに居を構えていました。今でこそ荒んでしまっていますが、当時はきっと素敵な街だったのだと思います。変わっていくバートラスタを見限ることもできたはずですが、ファーマレイ家はそうしなかった。親族の墓があるその地を見放せなかったのでしょうね。
私たちが訪れた当時のバートラスタの話ですが、古くからそこに住む街人よりも、異国からやってきた商人や流れ者たちの方が圧倒的に多かったのです。異国から商売をしにくる商人たちと、取引しようと集まってくる商人たちとで、バートラスタは潤ったのですが、その反面、その恩恵が大きすぎて彼らを制御できなくなっていったというのです。
そうですよね。おこぼれが減るくらいなら、余計なことは言わずにおく方がいいというのは、ちょっと賢い者なら誰でも思いつくことです。でもここで肝心なのは、バートラスタの主がそれをやってしまったことでした。おこぼれに預かるどころか足元をすくわれたかつての主は、大量の血だまりを部屋に残したまま、行方知れずになったといいます。
そこから、バートラスタは一気に活気付きました。
いえ、商売ではなく、主の座をめぐる争いに、ですが……
主となって街の全権を握り、商売に関する税金なり規制なりを決めてしまえば、大量の金が動きますからね。ずる賢い商人たちはこぞって、主になるべく名乗りを上げたのです。小競り合いや騙し討ちが繰り返され、もはやならず者の縄張り争いよろしく、闘争が激化したそうです。
そうした環境にいてまともな暮らしができるはずもなく、バートラスタ全体が沼地のように澱み行くのは時間の問題だったのです。
ノーラン補佐官もパッセ補佐官も、バートラスタでの私の様子にとても驚かれていましたが、あれくらいの冷酷さがないとあの街では生きていけないのですよ。ちょっと敵に同情して怪我の介抱などしようとすれば、すぐに毒を塗った刃の餌食になるのは目に見えていますからね。
余談ですが、その時の私の短剣さばきを見たパッセ補佐官が後に、「悔しいが、見事だった」と話して下さいましたよ。それほどでも、とお返事しましたけど……嬉しかったです。
そういうわけで、私はそんな澱みの底で、エダル師の指導のもと修行をしていたのです。生活のために買い物をするのも命がけで、常に背後や懐を狙われていました。ある時などは隙を突かれて「人売り」に連れて行かれそうになったこともあります。師が助けてくれなかったら、私は今頃異国で奴隷にされていたでしょうね。
「人売り」の女性に会った時、私がすぐにそれと見破った理由は、それです。
一度その針に刺され、麻痺毒「ハヴァリエ」の餌食になったことがあるからなのですよ。
しかもその時……
い、いえ……何でもありません。
面目ない話なので、ここから先はご勘弁下さい。ね。
ファーマレイ流双剣術の祖グラヴァス・ファーマレイは、バートラスタに居を構えていました。今でこそ荒んでしまっていますが、当時はきっと素敵な街だったのだと思います。変わっていくバートラスタを見限ることもできたはずですが、ファーマレイ家はそうしなかった。親族の墓があるその地を見放せなかったのでしょうね。
私たちが訪れた当時のバートラスタの話ですが、古くからそこに住む街人よりも、異国からやってきた商人や流れ者たちの方が圧倒的に多かったのです。異国から商売をしにくる商人たちと、取引しようと集まってくる商人たちとで、バートラスタは潤ったのですが、その反面、その恩恵が大きすぎて彼らを制御できなくなっていったというのです。
そうですよね。おこぼれが減るくらいなら、余計なことは言わずにおく方がいいというのは、ちょっと賢い者なら誰でも思いつくことです。でもここで肝心なのは、バートラスタの主がそれをやってしまったことでした。おこぼれに預かるどころか足元をすくわれたかつての主は、大量の血だまりを部屋に残したまま、行方知れずになったといいます。
そこから、バートラスタは一気に活気付きました。
いえ、商売ではなく、主の座をめぐる争いに、ですが……
主となって街の全権を握り、商売に関する税金なり規制なりを決めてしまえば、大量の金が動きますからね。ずる賢い商人たちはこぞって、主になるべく名乗りを上げたのです。小競り合いや騙し討ちが繰り返され、もはやならず者の縄張り争いよろしく、闘争が激化したそうです。
そうした環境にいてまともな暮らしができるはずもなく、バートラスタ全体が沼地のように澱み行くのは時間の問題だったのです。
ノーラン補佐官もパッセ補佐官も、バートラスタでの私の様子にとても驚かれていましたが、あれくらいの冷酷さがないとあの街では生きていけないのですよ。ちょっと敵に同情して怪我の介抱などしようとすれば、すぐに毒を塗った刃の餌食になるのは目に見えていますからね。
余談ですが、その時の私の短剣さばきを見たパッセ補佐官が後に、「悔しいが、見事だった」と話して下さいましたよ。それほどでも、とお返事しましたけど……嬉しかったです。
そういうわけで、私はそんな澱みの底で、エダル師の指導のもと修行をしていたのです。生活のために買い物をするのも命がけで、常に背後や懐を狙われていました。ある時などは隙を突かれて「人売り」に連れて行かれそうになったこともあります。師が助けてくれなかったら、私は今頃異国で奴隷にされていたでしょうね。
「人売り」の女性に会った時、私がすぐにそれと見破った理由は、それです。
一度その針に刺され、麻痺毒「ハヴァリエ」の餌食になったことがあるからなのですよ。
しかもその時……
い、いえ……何でもありません。
面目ない話なので、ここから先はご勘弁下さい。ね。
PR
●Thanks Comments
無題
さて……面目ない話って、何だと思います?
15歳のトキーエ、さぞ可愛かったでしょうね……
というわけで、その「面目ない話」を密かに書こうと思います。どきどきのハラハラをギリギリくらいで(おいおい)。サイトのポリシーですので年齢制限のあるものは書きませんけどね(お望みの方にはヒローしますけども)。
まあ何にせよ、色々な意味でリクエスト受付中。
●この記事にコメントする
●この記事へのトラックバック
TrackbackURL: